「江差沖揚げ音頭」(esashi okiage onndo)

北海道指定無形文化財とされ、ヤン衆と呼ばれた人々に唄われ、ニシン漁場労働の姿を忠実に素朴に伝承しています。

ヤン衆…出稼ぎの男性労働者のことで、「ヤン」はアイヌ語で「向こうの陸地」(つまり本州)を指す。俗っぽいニュアンスがあるため、地元の人は彼らを「若い衆」と呼ぶことの方が多かったようです。

唄は〈出船、網起こし、切り声、ニシン沖揚げ、子たたき、帰り船〉というストーリー構成になっています。

大量の時には2日3日も不眠不休で作業を行う必要もあり、男だけの船の上では女性や子どもの前では言えない様な文句を唄うことで、笑いを誘い、眠気を覚まし、疲れきった身体に生気を取り戻すのです。

歌詞は何百種類もあり、半分は海の男の心意気と大量祈願、家族や思いを寄せる異性への思慕。

もう半分は所謂下ネタ。

危険も伴う漁、過酷な労働…ふと出てしまう疲れを吹き飛ばす為には、きっと笑いも必要だったでしょう。

すべてが若い衆たちのエネルギーそのものであり、海の男の“男らしさ”ともいえるのかしれません。

 

【江差沖揚げ音頭】

出船(船漕ぎ音頭)
「オースコー」「ホーラーオー」などの掛け声とともに船出します。

網起こし(網起こし音頭)1:50辺り〜
ニシンが大量の時には、網を起こすことが非常に困難となり、切り声で士気を奮い立たします。

ニシンを網に入れ過ぎると重さで網が破れてしまう為、見極めも重要になってきます。

沖揚げ(沖揚げ音頭)6:15当り〜
ソーラン節としてよく知られた部分です。

網起こしによって積み込まれたニシンを陸揚げするため、汲み船を横付けにし、タモ網で汲み上げる時に唄います。

子たたき(子たたき音頭)8:50当り〜
陸揚げを終えた網には沢山の数の子が付着しています。それを(竹などの道具で)たたき落とす際に唄います。

この作業は、陸(おか)の男衆と女性労働者が一緒になって大量を喜び、次の漁への期待も込め唄われます。

別名「いやさか音頭」と呼ばれ、「いやさか」とは「ますます栄えること」を意味します。

帰り船11:05当り〜